こんにちは。またまた間を空けてしまいましたが、まぁ、このブログは気ままに時間のある時に思った事を色々書けば良い、と言う趣旨のブログなので、あまり問題ないでしょう(と自分自身を納得させる)。

さて、今回の記事のタイトルは「運輸担当者の上司は誰?」と言うものですが、実は、先日小生が受けたある会社の相談に関連しています。

相談内容自体は、ある輸入の船積みで通関で問題があり、通関が切れないがどうしたら良いか、と言うものであり、直接運輸担当者の上司がどうのこうのという話ではありませんでした。

ただ、この時に運輸担当者(メキシコ人の女性)から最初に相談があり、その後彼女も含め、彼女の上司(メキシコ人男性、マネージャークラス)と打ち合わせをしたのですが、その際に「なんかヘンだぞ?」と、ある事に気づきました。

何かと言うと、この男性マネージャーは営業マネージャーであり、運輸の事を全然知らないのです。当然、通関がどうのこうのとか、何故今回通関で手間取っているか、などの事も理解出来ません。

勿論、通関業者から連絡される理由や現在の状況は、通関法などの知識がなくとも大体理解出来るよう、専門用語(特に通関に関わる法律用語)を使わず「普通の言葉」で伝えれば、大体判ってはくれますが、その問題の解決に当たり、「兎に角、客に商品をすぐ納めなければならないんだ。専門家である通関業者の言う事を良く聞いて対処してくれ」と言うばかりなのです。

ここで問題です。どうしてこの営業マネージャーの言うようにする事が『問題』なのでしょうか。

先ず第一に、「本当に通関業者って専門家なの?」と言う疑問が沸きます。日本であれば「乙仲」と言えば、専門家でしょう。全てを任せておいて問題になる事は殆どないのではないでしょうか。

ところが、メキシコでは、通関業者、つまり通関代理店と言う会社組織で勤務している人たちが全て「可なり運輸や通関に知識がある人達」とは言えません。

先日も、「日本から来る貨物の場合、日墨
EPA に基づく原産地証明があれば DTA(通関手続き料)が最低の一定料金になるよ」と言う、ある通関業者のスタッフがいたので、「それって、EU - Mexico FTA のケースと混同してない?」と指摘してあげました(そしたら黙ってしまいましたね。メールでしたけれど)。

次に、運輸の実務スタッフの女性も、十分な知識がない、と言う事もありますが、ほかの通関業者に確認してみる(良く「裏を取る」とか言いますね)などなど対処方法を自身で判断出来ない、また、判断する為の権限もない事より、(ひょっとしたらいい加減な事を言っている)通関業者の言いなりになってしまう、と言う問題が挙げられるでしょう。

要は、「運輸の知識を持っている管理職の人の判断を仰げない」と言う事です。

ですから、上司である営業マネージャーが「通関業者の言う通りに進めなさい」と言うと、そのまま進めてしまう。これってアブナイですよ、ほんとに。

更に第三点目として挙げられる事は、まぁ、今回の通関の問題に関しては特に認められなかったのですが、「下手をすると、営業の言いなりになり、法的に正しいかどうかも確認せず通関してしまう」と言う、社内統制、或いはコンプライアンスの問題です。

当然、営業マネージャーにしろ、他に営業スタッフがいる場合であればそのようなスタッフの人達も「法律を犯してはいけない」と言う事は判っているでしょう。しかし、自分達に通関関連の知識がないと、「兎に角早く通関しろ」と運輸スタッフをけしかけるだけ、と言う事になります。

そして当の運輸スタッフに十分なコンプライアンスの意識がない、或いはそのような意識があっても知識が不足していると、「あぁ。大変だ。何とかして通関しないとまた上司に怒られる」と言うように、法規制に準拠しているかどうかを自分自身で良くチェックもせず、通関してしまう、と言うようなケースが出て来る可能性があります。

ここでも通関業者がいい加減な点が災いしますよね。メキシコの通関業者など、自分さえ蚊帳の外と言うか、当局のお咎めが届かなければ良い、と思っているフシがありますから、輸入者(客)の方から、「これ、大丈夫だろうね?法的にやばい事ないの?」などと聞いて来なければなかなか親切に「このようにやる事はお勧めしません」などと言ってくれません。

運輸部隊と言うのは、社内では経理や人事などと同様に「サポート部門」と見られ、営業や購買、はたまた製造部門などから見ると、「運輸なんて、我々の指図に従って動いてくれればそれで良いんだ!」などという見方がされる場合があります。

本当にそうでしょうか?

例えて言えば、営業がアクセルであれば、運輸は(経理や法務などもそうでしょうが)ブレーキの役目を果たさねばならない場面があるように思います。

車はアクセルだけではなく、ブレーキが付いていて初めて安全な運転が出来る訳ですよね。

運輸はもっともっと営業なり購買なりと密着し、例えば営業スタッフがお客さんと打ち合わせするような時にも同席し、運輸の観点から後々問題にならない(例えば、実際に貨物を輸送したり通関したりする時に困らない)スキームを提案すべきなのではないかと思いますが如何でしょうか。

例えば、お客さんが
IMMEX 企業であり、輸入した商品をそのままの形で Virtual Operation で売りつないで欲しい、などと要請して来たら、「ちょっと待ってよ。一時輸入した商品をそのままの状態で別の IMMEX 企業に Virtual Operation を介して transfer するのは、最近の貿易細則の改訂で禁止されたんですよ。」などなど、営業が恐らく知らないであろう法改訂などに就いても知識を持ち、営業にアドバイスし、事前に「ヘンな契約書」を締結しないように努めるべきではないでしょうか。

と言う訳で、通関関連の問題で小生に相談して来た会社と言うのは、運輸スタッフの女の子の上司が実は営業マネージャーである、と言うちょっとアブナイ会社でした・・・。

まぁ、所帯が小さい会社で、運輸の知識がある人間を運輸部マネージャーと言った形で雇えない、と言う部分はあるのでしょうが、それにしても経理の下にその女の子を付けるとか、そのような方法は取れないものなのでしょうか。