本日(2014年 8月 29日)、メキシコの通関法(Ley Aduanera)にぶら下がる『2014年版貿易細則』が官報にて発表されたので、お伝えしたいと思います。

昔は、4月末とかに発表されていたのですが、ここ数年は毎年 8月末に発表されているので、まぁ、オンタイムと言う事でしょうか。

若し、原文をご覧になりたい方がいらしたら、下記のページの下の方にリンクがあるので、そちらからアクセス下さい(と、さり気なく我々のサイトに導いて PR している訳ですが)。

http://jetrac.com.mx/

尚、今回の改正で一番興味ある点と言ったら、特に IMMEX 企業の皆さんにとっては、「IVA 法の改正に絡んで、Virtual Operation の扱いがどうなったか?」と言う事ではないかと思います。

会計事務所のセミナー等に出席し、「今後 IVA 法の改訂により、非居住者から IMMEX 企業に販売する場合には IVA がチャージされなければいけなくなる」などと脅された経験がある方もいらっしゃるのではないでしょうか。

これは、IVA 法第 9条第 IX 項の文章が変更になった事を指し、この変更により、上記のような解釈がなされてしまった訳です。

IVA 法第 9条と言うのは、IVA の対象とならないオペレーションや商品・サービスを上げているので有名でしょう。第 I 項は、"Suelo"、つまり土地ですが、土地を売買しても IVA  の対象とはならないとしている訳です。

その他、新聞、雑誌、書籍(第 III 項)、国内外の貨幣や金・銀などの貴金属(第 VI 項)などが誰でも知っている IVA 対象外の商品ではないでしょうか。ドルを 100ドル買ったら、IVA がチャージされ、116ドル分のペソを払わなければならなかった、となったらたまったものではありませんから。

さて、じゃぁ、この中で、第 IX 項がどう変わったか、原文を見てみましょう。スペイン語が分からない方はこの部分をすっ飛ばして頂いても構いません。

改定前:

(QTE)

IX.- La de bienes efectuada entre residentes en el extranjero o por un residente en el extranjero a una persona moral que cuente con un programa autorizado conforme al Decreto que Establece Programas de Importación Temporal para Producir Artículos de Exportación o al Decreto para el Fomento y Operación de la Industria Maquiladora de Exportación o un régimen similar en los términos de la Ley Aduanera, o sean empresas de la industria automotriz terminal o manufacturera de vehículos de autotransporte o de autopartes para su introducción a depósito fiscal, siempre que los bienes se hayan exportado o introducido al territorio nacional al amparo de un programa autorizado conforme a los decretos mencionados o de un régimen similar en los términos de la legislación aduanera o se trate de las empresas mencionadas, y los bienes se mantengan en el régimen de importación temporal, en un régimen similar de conformidad con la Ley Aduanera o en depósito fiscal.

(UNQTE)

改訂後:

(QTE)

IX.  La  de  bienes  efectuada  entre  residentes  en  el  extranjero,  siempre  que  los  bienes  se  hayan exportado o introducido al territorio nacional al amparo de un programa autorizado conforme al Decreto  para  el  fomento  de  la  industria  manufacturera,  maquiladora  y  de  servicios  de exportación, publicado en el Diario Oficial de la Federación el 1 de noviembre de 2006 o de un régimen  similar  en  los  términos  de  la  legislación  aduanera  o  se  trate  de  las  empresas  de  la industria automotriz terminal o manufacturera de vehículos de autotransporte o de autopartes para su introducción a depósito fiscal, y los bienes se mantengan en el régimen de importación temporal, en un régimen similar de conformidad con la Ley Aduanera o en depósito fiscal.

(UNQTE)

要は、改定前の文章で黄色くマークした部分がすっぽり削除されており、「・・・若しくはプログラムを有するメキシコの法人に」と言う部分がなくなってしまったので、上記のような、会計事務所が行うセミナーでは「今後、このようなオペレーションは IVA の対象になります」などと脅かされるは目になっていました。

ただ、メキシコ場合は、このようなオペレーションも含め、貿易細則の中で、「輸出とみなされ、IVA をチャージしない」と言う事になっているので、大丈夫、と言う考え方をします。

具体的には、貿易細則 5.2.2 の中で、下記のスキームが対象となっています。

I 非居住者から別の非居住者に販売されるが、商品の物理的な delivery は IMMEX 企業間で行われる場合。

II 非居住者から IMMEX 企業に販売されるが、商品の物理的な delivery は、別の IMMEX 企業からこの IMMEX 企業が受け取る場合。

III IMMEX 企業が非居住者に販売するが、商品の物理的な delivery は、別の IMMEX 企業に対して行う場合。

また、細則 5.2.3 では、その他の 3津のケースが述べられていますが、ここでは割愛します。

要は、IVA 法第 9条、第 IX 項で行われた変更は、まさにこの貿易細則 5.2.2 第 II 項に当たる訳ですが、ちゃんと貿易細則 5.2.2 で、このようなオペレーションは認められており、IVA もチャージしなくて良い、となっているじゃないか、と言う事です。

勿論、法的なヒエラルキーから言えば、IVA 法は「法律」(ley)なので、細則(Reglas)よりは上位に属します。つまり、裁判などになった場合、IVA 法の方を守るべき、と言えるでしょう。

ところが、法律を実際に(実務レベルで)適用するために細則があるのだ、と言う考えをしますので、細則で認められていれば問題ない、と言うところが一般的な解釈となります。

そして、本日 2014年版の貿易細則が発表された訳ですが、細則 5.2.2 を早速チェックすると、変わりはありません。

つまり、このようなオペレーションを行っている企業でも、これまで通り Virtual Operation を行うことで、IVA をチャージする必要はない、と言う見解が成り立ちます。

IMMEX 企業の皆様、良かったですね(ホッとしている方も結構いらっしゃる?)。

因みに、未だに、小生のもとに届く問い合わせ、と言うかご相談で、「今年の IMMEX 法の改定に伴い・・・」等と言って来る人がいます。

IMMEX 法令なんてここ数年変わっていませんよ。飽く迄、IVA 法を含む税制改革がなされ、その中で IMMEX オペレーションに影響がある変更がなされている、と言う事です。

間違えないで下さいね。

と言う訳で、今回はここまで。