今年の税制改革に於ける主な変更の一つが矢張り IVA に関するものでしょう。

北部国境地帯では従来からその他の地域に比べ 5% 低い税率が適用されていましたが、今回の改革でこの「例外措置」が廃止され、全国一律 16% の税率になっています(北部の企業や住民は随分反対したようですが)。

また、IMMEX 企業が行う一時輸入についても、IVA の『免除』が廃止され、輸入通関時にこれを支払う事が義務付けられた事をご存知の方も多いと思います。

但し、IVA 法上では、既に義務として成文化されていますが、この変更の部分に就いては、施行が来年 1月 1日から、とされています。御存知の通り、「今年中は猶予期間とし、その間に、従来通り IVA を支払いたくない企業はタックスクレジットの為の認定企業登録を行いなさい」と言う趣旨です。

「認定企業」と言うと、従来の認定企業があり、その後、2012年に「新認定企業」(NEEC)が発表されているので、これらと誤解される場合もあるかも知れませんが異なるものです。

このタックスクレジットの為の認定企業の案が、国会に提出された大統領提案書の中で語られていた際には、「なんだ?今度は『新・新認定企業』、つまり NNEEC などと呼ばれる事になるのか??」などと思っていましたが、そうではなく、「IVA と IEPS のタックスクレジットの為の認定企業」と言う呼称になっています。

IVA は非常にポピュラーなので説明しませんが、IEPS とはなにか、と言うと、酒類、タバコ類、また、今回の税制改革では、肥満大国となったメキシコ(特に児童の肥満が大変な問題になっている)で、何とかこれを打開しようと、砂糖を含む清涼飲料水や菓子など、特定の商品やサービスに課せられる税金であり、IVA と同様に支払った IEPS を他の法人・個人に転嫁する事が出来ます。

で、このタックスクレジットなのですが、要は、この認定を受けた企業は、IVA 法で「IMMEX 企業であっても輸入時に IVA を払いなさい」と義務付けられていても、該当する IVA の金額と同額のクレジットを受けられる(IEPS の場合も同様)事になり、結果として、通関の際に支払う必要がなくなります。

面白いのは、カテゴリーが A、AA、AAA と三段階に分かれている点です。

ある会計事務所のセミナーに出席した時には、講師の方が「『エー』、『エーエー』、『エーエーエー』と言うんでしょうか。なぜこのようにグループに分かれているのか判りませんが」などと言っていたので、もう少しで椅子から転げ落ちるところでした。

「おいおい。日本でも『A クラス』、『ダブル A』、『トリプル A』等と言って、信用度を表すカテゴリーだろ」とツッコミを入れたくなりましたが。

実際、ダブル A の認定を受ける為には、A より厳しい条件が課せられ、トリプル A では更に厳しくなります。

当然の事ながら、A の企業より、ダブル A の認定を得た企業の方が恩恵が多く、トリブル A の場合、更に恩恵が増えます。つまり、大蔵省にとってみれば、A の企業よりダブル A の企業の方が信用出来、更にトリプル A の企業の方がもっと信用出来る、と言う事ですね。

ただ、これら「追加の恩恵」はオマケのようなもので、A カテゴリーの認定企業でも IVA や IEPS のタックスクレジットは 100% 受けられるので、「兎に角 IVA を(或いは IEPS も)輸入通関時に支払いたくない」と言う企業は、A カテゴリーでの認定を得ることに神経を集中すべきでしょう。

また、申請するための条件の内、ダブル A の場合、少なくとも IMMEX オペレーションを過去 5年間行っている事、また、トリプル A の場合、7年間行っている事、と言うものがあるので、一昨年からの日本企業のメキシコ進出ラッシュで進出してきた企業にとっては、何れにせよダブル A やトリプル A の認定は受けられない事になります。

この認定の為の手続きはカレンダーが決まっており、例えば中央地帯では、今年 8月 7日から 9月 8日まで、となっているので、早めに準備を進めた方が良いでしょう。

尚、このカレンダーに示された期間中に申請しないと申請する権利が消滅してしまうか、と言うとそうではありません。

申請を受け付けてから 40日以内に当局は回答する(回答がない場合は自動的に却下されたものとみなす)、と言う規定があり、このカレンダーに準拠して申請してくれれば、40日で回答するよ、と言う事です。

若し、この該当する期間内に申請を行わなかった場合は、カレンダーの最後が 10月 22日なので、この最後の日から数えて 40日後に回答する、と規定しています。

つまり、中央地帯に納税者登録住所があるので、9月 8日までに申請をしなければいけないが、遅れてしまい、9月 10日にやっと手続きが出来た、等と言うような場合、2日手続きが遅れただけでも、政府当局から回答があるのは 12月になってしまう、と言う事です。

そうそう、補足事項を二点ほど・・・。

1) この認定制度に関する規定は本年 1月 1日(元旦ですね・・・大蔵省の人たち大変だったでしょうね)に、貿易細則の第 6次改訂議決として発表され、その中に申請のための条件などが織り込まれていましたが、昨日(2月 27日)に第 8次改訂議決が発表され、その中で早くも申請条件、恩恵など、数多くの変更がなされています。申請のための準備を進めている方はお気をつけ下さい。

2) これまで、申請条件の中で「申請書記入要項に基づき」などと書かれていたものの、肝心の記入要項が発表されていませんでした。それが、昨日の第 8次改訂で申請用紙及び記入要項が発表されています。

申請用紙と言っても、ウェブ上で手続きを行うので、用紙を印刷し、これにボールペンなどで記入する必要は全くありません。

じゃぁ、何故わざわざ所定の用紙が発表されるのかと言うと、矢張りどのような質問に対して回答する欄があるのかを示しておかなければならない、と言う事だと思います(IMMEX や PROSEC の登録申請などでもそうですが、実際の手続きはウェブ上で行うが、全て一応用紙が存在します)。

ほんっとにややこしいですね・・・。

ではまた。