メキシコに最近赴任された M さんから一通のメールを頂きました。メキシコに於ける個人輸入に関するものです。

結論から言いますと、メキシコでは個人で何か商品を輸入しようとすると手間隙も掛かる上に相当高く付く、と言うところでしょうか。

皆さんのご参考にして頂きたいと思い、同氏の了解を得て同氏のメール及び小生の回答を下記に掲載しておきます(一部修正しています)。

++++++(M 氏のメール)++++++++

当方、本年初より、メキシコで在勤しております、
M と申します。
このたびは、少し、困ったことがありまして、ご相談申し上げる次第です。

何卒、よろしくご指導頂けますと助かります。


メキシコ赴任後、身の回りのものを揃える関係上、メキシコにて手に入らない物品などの輸入を行ないたいと思っておりますが、(一部、すでに 輸入済みですが、)メキシコの通関制度が不透明なため、大変困っております。


そこで、お助け頂きたい次第です。


先日、英国から、革製品を輸入しましたが、メキシコとEUの間では、自由貿易協定があるにもかかわらず、30%もの関税が賦課され、国際 宅配便業者がすでにプリペイドしていたため、当方も荷物を引き取る際、かかる関税を支払わざるを得ませんでした。(メキシコとEUのEPA上、該当の革製 品は無税である旨、確認済みです。)

今回、この支払い済みの関税を取り戻すことはできないご相談でしょうか。(原産地証明書が必要になるのでしょうか。しかしながら、インター ネットで英国から購入致しましたので、原産地証明書を取得するのは難しいと考えます。)


今月中に日本から、「中古かつ米国製」のオーディオ用スピーカーを船便で、購入する予定ですが、①の経緯から、どの程度の関税等を支払う 必要があるのか、全く予見できず、購入を見送っています。
関税等を回避または低減するために、気をつけるべき対応策はありますでしょうか。


当方、外交官の身分で、メキシコで従事しているのですが、通常、メキシコ国内での買い物等につきましては、二国間の租税条約で、IVAの 還付が認められております。

かかる海外からの品物の購入についても、かかる還付制度を受けることはできますでしょうか。(関税の還付は難しいようでしても、
IVAの還付だけでも、できましたら幸いです。)

FRANQUICIAという制度があると聞きましたが、これを利用して、還付してもらうことはできるのでしょうか。


++++++(小生の回答メール)++++++++

メール有り難う御座います。


さて、お尋ねの件ですが、詳細を調べず、現在判る範囲でお答えすると下記の通りです。


英国製の革製品:EU とメキシコの自由貿易があるのは確かですが、メキシコにて輸入する商品が「EU 製である」と言う事を証明する必要がありますよね。それが原産地証明(EUFTA では "EUR 1" と言う書式で呼ばれています)です。これがないと「EU 製である」と証明出来ない訳で、結果、一般関税率が適用されてしまいます。

また、「お互いの原産品である事を認める為に輸出者側で原産地証明を発給し、輸入側でこれを提示する事で協定にて定めた関税率が適用出来る」と言う事は協定の中で規定されていますので、「原産地証明を入手する事なしに協定の関税率を適用する」と言う事は不可能である、と言えます。


どのような形で(どのようなショップで)購入されたか不明ですが、購入元に相談されては如何でしょうか。
EUR 1 は事後発給及び事後の適用が可能ですから、今からこれを入手し、税関に対して還付手続きを行う事は可能だと考えます。

尚、「還付手続きが可能」であっても、現金で戻って来ない事がありますのでご注意下さい。これは、ある通関手続きの結果、納税者(一般には輸入者か輸出者)側にプラスになるバランスが生じた場合には、納税者はそのバランス分を次回以降の通関手続きで適用する事が出来る、と言う規定であり、殆どの場合「いやおうなしに、現金の代わりに次回の輸入に適用しろ」と言われるように聞いています(この辺りは通関業者に相談される事をお勧めします)。


日本からの米国製中古スピーカー:矢張り Franquicia を利用するか、或いは外交官として赴任されている、との事ですので、Visitante のビザをお持ちでしょうから、Menaje de Casa(「メナヘ・デ・カサ」と読みます。いわゆる家財道具の事です)をご利用されるのが一番だと思います。

Franquicia と言うのは、正式には "Franquicia de Pasajeros" と言い、旅行者の一般の荷物の内部で妥当と思われる「商品」が定められており、それらを携帯するのであれば無税で通関出来る、と言う制度です。その中には ステレオ一式、スポーツ用品一人分、パソコン一人分などが含まれます。但し、大きなスピーカーであれば、「旅行者としてそんなものが必要か」と言う事になりますね。

その点、
Menaje de Casa であれば、上記①及でもそうなのですが、「通常家の中で使う家財道具は一式輸入しても良い」と言う事になりますので、洗濯機やら家具まで日本から持って来る事が可能となります。但し、通関法第 106条で規定されている、いわゆる「一時輸入ステータス」での通関となりますので、赴任期間終了時に(建前上)国外に持ち出す必要があります。(注:実際には、赴任期間終了時にはメキシコで購入した衣類や家具などを日本に持ち帰られるでしょうから、その際に「これは日本から一時輸入ステータスで持ち込んだものだから再輸出です」と言う形の通関をすればある程度辻褄が合う訳です)。

③ IVA の還付に就いて:日墨の租税条約は詳細を熟知しておらず、これは調べる必要がありますが、これは M さんご自身が支払った IVA が還付出来るかどうか、と言う事でしょうか。

元々租税条約の大きな目的のひとつは、二重課税をなくしましょう、と言う事ですので、例えばある件で日本の企業がメキシコに於いて
Withholding Tax を徴収された、などの場合に、この証明を取得すれば、日本側で(黒字企業であれば)課税利益からその分を差し引いて日本側で申告は出来る筈です。

但し、
IVA(付加価値税)はメキシコの国内税で、日本の消費税に当たるものですから、最終的に支払う(負担する)者は消費者となります。このような趣旨の税金が租税条約の中でお互いの国の中で相殺出来るようになっているとは、少々考えにくいのですが。(大蔵省から見たら「消費したじゃないか」と言う事になりませんか?)。

また、仮に何か規定されているとしても「還付される」のではなく、「日本の方でその分が相殺される」と言う事ではないかと考えますが、如何でしょうか。


尚、以下に何点か関連があると思われる点をコメントしておきますので、ご参考にして頂きたいと考えます。(少々長くなるかも知れませんが)。


1) 日系企業の派遣員の方々は大体引っ越し荷物をまとめて日本から発送し、メキシコに到着する際には上記の通り、「長期滞在ビザを有する外国人が輸入する家財道具」として「一時輸入ステータス」にて輸入通関を行う、と理解しています。この場合、「一時的に国内に保有する」と言う建前ですから、輸入時に関税や IVA を支払う必要がありません。

2) 日系企業の日本人派遣員の引っ越し荷物は日本通運や K Line Logistics(以前の K-Line Air)などが手がけていると理解しています。一度コンタクトされては如何でしょうか。

http://www.nipponexpress.com/global_locator/cityLocationList_MX_19391D08F07A31F249256E61001BFF06_all.html

https://www.klinelogistics.com/jp/network/mexico.html


3)
但し、これは小生の個人的な経験から申し上げる事ですが、実は小生の家内はメキシコ人で、一時ふたりで日本に住んでいた事があります。メキシコの通関法では、海外で 1年以上暮らしたメキシコ人は帰国の際に、関税の支払いなしに上記の Menaje de Casa を持ち込む事が出来る、と規定していますので、日本で使っていたステレオや衣類などの輸送を日通に依頼しました。ところが、当地で実際に貨物が付いた際に 普通では考えられない費用を通関費用として請求されました。小生の場合、会社で引っ越しの為の費用が支給される訳ではないので、メキシコ側での輸入通関は日通には任せず、イエローページで通関業者を探し、そこに依頼したところかなり通関の費用(業者手数料)をセーブ出来た、と言う経験があります。

4) 種々個人での輸入をお考えのようですが、メキシコは個人輸入が難しい国です。出来ないとは言いませんが、荷抜け(荷物の一部が到着時に紛失している)や、 通関業者から不当な料金を取られる場合もあります。また、個人の場合どうしても DHL や FedEx などクリエサービスを利用する事になり、これら企業がチャージする料金はかなり高いものになります。(例えば、送料の他に商品に掛かる関税を請求して来ますが、他の十羽一からげの様々な商品と一緒に通関する為に、一々商品ごとの関税番号を確定せず、invoice の料金に一律最高関税率(30 ~ 35%)を掛けたりします)。依って、小生の場合、これまで書籍若しくはパソコンソフトが入った CD-ROM くらいしかインターネットで海外のショップから購入した事はありません)。

5) IVA の還付に就いては、小生も少々調査してみますが、元々 IVA の還付は、支払い IVA と受け取り IVA の相殺を行い、若し支払いが受け取りを超過している場合にはその分に就いて還付が可能である、と言う決まりがあります。しかしこれは納税者が法人、若しく は個人事業者として大蔵省に登録している個人の場合です。ですから、例えば M さんが個人業主として登録しており、何かの商品を確定輸入ステータスで輸入 し、その際に IVA を支払う場合、同じ商品を確定輸出ステータスで再輸出したとしたら、その際には誰に対しても IVA をチャージしませんので、輸入時に支払った IVA が「支払い超過分」として、大蔵省に対して還付手続きが出来る、と言う事です。

大変長くなりましたが、以上ご参考にして頂きたく。また、その他追加の質問などありましたら何なりとご連絡下さい

他にも、スペイン語の事、メキシコでの生活の事など何でもお気軽にご相談下さい。別にご相談頂く事で料金をとるような事はしませんので(笑)。本当に何か 調査が必要な事などであれば、正式にお見積もりを差し上げます。

今後とも是非宜しくお願い申し上げます。