どうも!久々の登場です!今日は、(日系ですが)メキシコ企業の運輸業務を監査したりして感じた事を書きます。

特に購買部隊の SOW(お判りの方も多いと思いますが、Scope of Work の事ですね。「守備範囲」と言いますか・・・)に就いてですが、皆さんの会社では、購買の仕事範囲ってどの辺までありますか。特に「海外サプライヤーからの買い付け」に於いてですが。

購買部隊の仕事って、サプライヤーとかプロバイダー(ほぼ同義語なんですがね・・・汗)を発掘したり、それらの企業(業者とかも言いますね)とネゴし、最終的に社内承認を得て発注書(P/O、Purchase Order)を発行する事、と言えるでしょう。

でも、こと海外サプライヤーからの購入に於いて、「それで終わり?」と言う点が今回の記事のメインポイントです。実際、小生この疑問がある訳です。

購買舞台の責任は「サプライヤーの管理」も含まれる筈なので、「発注したけれど、納入時期に合わせてちゃんとモノを製造しているだろうか」とか、「そろそろ船積み期限だけれど Cargo ready にはまだならないのか」などと、心配しなければいけないのではないでしょうか。まぁ、「心配」と言うと大げさかも知れませんが、そのような気配りと言うか、concern が必要と言う事です。

また、Cargo readiness になる前に、invoice を含む、どのような船積書類が必要かを Shipping Instructions を通じてサプライヤーに指示してやる必要があるでしょう(契約書にそこまで記載されていれば別ですが)。

ところが、メキシコにある日系企業でもそうなんですが、ここメキシコの企業では、殆どそのような concern はなく、注文書を発行したら「私たちの仕事はこれでおしまい」と言ったスタンスです。当然 Shipping Instructions なども発行しない事が普通です。

その後、サプライヤーは何をするかと言うと、当然船積みをし、船積書類を送付する(L/C 決済の場合であれば銀行に差し入れる)事になりますが、輸入者側(Buyer)の購買部隊は船積書類が送られて来ても内容をチェックさえしません。場合によっては、受取人を運輸部隊の担当者にして欲しい、とわざわざサプライヤーに連絡します。「もう発注手続きは終わったんだから、あとは運輸部さん、頑張ってね」と言う感じでしょう。

そうかなぁ?と非常に疑問に思うんですね。小生に言わせれば、購買の仕事はサプライヤーがちゃんと船積みしたかを見届けるまでじゃないか。そして、船積書類が届くのは物理的に船積みがあった後なのですが、船積書類準備(発行、船社から B/L 取得、及びケースにより原産地証明や保険証書の入手など)と言う作業自体、船積みと密接に紐付いているものなので、「サプライヤーの義務の一環として」船積書類がちゃんと整っているかどうかをチェックする仕事は、取りも直さず購買部隊の「サプライヤーの管理」の部分にも関係して来ます。

ところが、繰り返しになりますが、メキシコでは、購買部隊は注文書を発行したらそれでその件はポイしちゃうんですね。運輸部隊に注文書のコピーを(メールなどで)投げるのであればまだしも、発注した事さえ運輸に通知しないので、運輸としては「船積書類がサプライヤーから届いて初めてこのような貨物を輸入しなければならない」と知る事もあります。

しかも、Shipping Instructions もない為、往々にして Invoice の書き方などに不備があり、これでは通関出来ない、或いは、通関する為には運輸部隊が余計な書類を作成して通関業者に渡してやらなければならない、と言う事もあります。

本来であれば、「invoice はこれこれこのように記入する事」などと、きっちりした Shipping Instructions をサプライヤーに渡し、船積書類が来たら、Shipping Instructions 通りに作成されているか、などの点まで購買部隊がチェックし、問題がなければ運輸部隊に手交する、と言うのが望ましいでしょう。そのようにする事により、「サプライヤーに invoice 再発行を要請する」、或いは、「運輸部隊の手でデータ不足を補う為の書類を通関の為に発行する」などの時間的ロスや手間をセーブ出来る訳でしょう。

その為には、輸入通関に関わる基本的な知識も購買に要求されます。しかし、元来そのような知識がないと購買として仕事出来ないでしょう?と言いたいですねー。何故なら、海外のサプライヤーと交渉する際にもそのような知識がある程度必要となる筈だからです。

また、invoice ばかりでなく、原産地証明書など全ての船積書類に就いて、購買でチェックし、その後手渡されたものを運輸部隊が再チェックする事で「ダブルチェック」となり、輸入通関がより間違いのない、スムーズなものになる事は明らかです。

ですから、お客さんには常々「購買部隊で Shipping Instructions も発行すべきですよ。また、Shipping Instructions のあるなしに関わらず、船積書類が届いたら最初にチェックするのは購買部隊であるべきですよ」と recommend しています。

勿論、昔から同じ商品を買い付けているサプライヤーであれば、船積みごとの Shipping Instructions は不要かも知れません。しかし、そのような場合でも、小生が見ると、変な invoice を使っている(例えば、メキシコ側の輸入者が数年前まで使っていたが今は全く使用していない私書箱のデータがあて先の住所として記載されている、など)事があります。

何れにせよ、「運輸部隊の手間暇を軽減する為」ではなく、会社全体のマンパワーの効率化、通関手続きの簡素化と言う観点から、購買部隊の SOW がどこまでか、運輸部隊とどのようなインターフェースで仕事を進めているか、などをチェックされては如何でしょうか。

今日は随分真面目な話になってしまいました・・・。ジョークを入れられる余地が余りないというか・・・(笑)。まぁ、たまにはそんな日もあると言う事です(笑)。

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