お知らせとお詫び:大変申し訳ありません。記事の内容に不確かな点があったため、書き直しました。既にお読みになった方、下記の修正版をお読み下さい。

2015年もはや 2月半ばになってしまいました。最近かなり忙しくてやりきれないです。年が明けた頃は、ゆるゆるとしたスピードで仕事ができたので「今年はこんな調子で過ごせるのかな?」などとのんきに構えていましたが、2月に入ったら、セミナーをある通関業者に施すとか、地方に進出されたばかりの企業から、これまでの輸入オペレーション(特に設備ですね)をチェックして欲しい、などのご要望がどんどん出て来てスケジュールが詰まってきました。

しかも、その間にもメールで色々ご相談があるわけです。輸入者の義務が出ている通関法第 59条をコピーして送ってあげたり、色々です。また、ある鉄鋼製品のダンピング調査について、対象の関税番号に入っていないけれど大丈夫か?等というご相談もありました。

で、気づいたのですが、結構最近になり、アメリカ西海岸のストを避けるためにメキシコを通して日本から米国に貨物を出せないか、或いは、逆に米国から日本に貨物を出せないか、と言うご相談が立て続けにありました。

一件は、ある日本の食料品を扱う会社で、米国から飲料を輸入するが、西海岸のストで困っている。メキシコを通して船積みすることは出来ないか、と言うご相談だったので、メキシコには ”Transito Internacional" と言うステータスがあるので、これで仮の輸入を行い、それを再度国外に出す際にキャンセルすることは出来ますよ、と言う話をしました。

なんでも、このルートで運べないか、とある物流業者に聞いたところ、「不可能である」と言う回答が来たとのこと。その物流業者さん大丈夫なんですかね。

また、別のお客様は、これも米国から日本への輸出ですが、生鮮食品の貨物が西海岸で止まってしまい困っている、との事。同じように、「このルートを使う方法は検討したら良いのではないでしょうか」と回答しておきました。

但し、多少の制約はあります。まず、どこの税関から入ってどこの税関から出ても良い、と言う訳ではありません。つまり、トランジットのために入る税関と出る税関を繋ぐルートが決まっている、と言う事です。

幸い、米国とメキシコの国境をまたがっての日米のルートで一番多く使われる Ensenada と言う港と Tijuana はトランジットに使えるルートと規定されているため問題はありません。

そう言えば、どなたに聞いたか忘れましたが、Manzanillo - Laredo と言うルートを検討している業者さんがいるとか。でも「えっ?」です。Manzanillo から Nuevo Laredo / Laredo のゲートウェイまでのルートってメキシコ国内の距離が相当ありませんか。

メキシコの道路コンディションは良くないので、メキシコ国内を陸上輸送する場合でも、なるべく短い距離(その分米国内の距離が増えても)を走ったほうが良いように思えます。そのほうが盗難に合うリスクも少ないでしょう。

と思いましたが、以前そう言えば別の物流業者さんからお問い合わせがあって、調べてみたところ、Manzanillo - Nuevo Laredo、若しくは Lázaro Cárdenas - Nuevo Laredo と言うルートは、「トランジットは列車の場合のみ出来る」と言う制限があったのでした。

次のハードルと言うか、制約は、対象商品としてはいけない商品がある、と言う事で、これはメキシコの貿易細則の Annex 17 にリストがあります。このリストには、商品名が書かれている部分(ビールなど)もありますが、メキシコでの関税番号が列挙されている部分があるので、先ず商品の description やスペック等をメキシコの通関業者に提供し、メキシコでの関税番号を確定しなければなりません。

場合によっては、この Annex 17 のリストに該当するのでトランジットの対象にはなりません、と言われる可能性もある、と言う事です。

スペイン語がお分かりの方のために、この Anexo 17 を添付と言うか、アップロードしておきましょう。

また、使用する輸送業者、つまりトラッカーか鉄道会社ということですが、この輸送業者が大蔵省の認可を受けているところでないと出来ない、と言う規定があります。

鉄道であれば、Ferromex か Kansas City de Mexico かどちらかしかなく、両方共大蔵省の認可を得ていますが、トラックの場合、その認可を受けているかチェックする必要があります。

まぁ、税金を支払ってない貨物を輸送させるので、そんじょそこらの輸送業者ではダメ、と言う事でしょう。

しかしながら、通常トラック業者を手配するのはメキシコの通関業者であり、Tijuana や Ensenada 辺りの通関業者はこのようなトランジットの手続きに慣れているので、彼らが懇意にしていてしかも認可を受けたトラック業者を手配してくれる筈です。要は、通関業者に任せておけばまず大丈夫、と言う事です。

そう言えば、日本から米国に行くはずの船積みでも、ある物流業者さんに聞きましたが、あるお客さんは数十本のコンテナーを Ensenada に向けて出してしまってから、この物流業者さんに「あと任せたからしっかりやってね」と伝えてきた、との事です。

また、ある自動車部品メーカーさんは、米国の日系カーメーカーさんに向けて出している自社の製品を航空便で出したりしていると。コストがべらぼうに掛かるでしょう。

米国での港湾ストのお陰でメキシコのトランジット輸送が注目されている、と言うのは面白いですね(緊急の貨物をどうして良いか分からなくて困っているお客さまにとっては面白いどころの話ではない、と言われるかも知れませんが)。

Tijuana と言う街は、以前日系の家電メーカーが沢山進出していて賑わっていたところです。今ではほそぼそとやっている企業がいくつか残っている程度でしょうか。

そう言えば、家電製品の部品を作るために Tijuana に進出してしまったが、Tijuana のお客さんはなくなってしまったので方向転換し、自動車部品を作るようになったが、お客様が中央高原地帯(バヒオ地帯)なので、輸送コストが嵩んで困る、と、ある小生の友人が漏らしていました。

中央高原地帯の方へトランスプラントしたらどうか、と聞いたのですが、可成りの設備があり、ままならないようです。

と言う訳で、今回は、日本から米国向け、または米国から日本向けの貨物輸送でお困りの方向けのテーマでした(今気が付きましたが、日本だけではなく、中国発、中国向けでも使えそうですね)。