と言う訳で、久々の記事です。

今回はある日本の機械メーカーさん(A 社としておきましょう)のメキシコ販売法人(便宜上 B 社としましょう)の話です。

実は、ある日系メーカーさん(C 社としましょう)が A 社の機械を購入しようと計画し、B 社より見積も取得したのですが、いざ発注しようとすると、「IMMEX 契約書」なるものを要求されました。これは何なのか、何のために必要なのかを B 社に尋ねると、「IMMEX、つまり、昔のマキラドーラオペレーションでは、設備や部材の所有者はアメリカの会社であるので、そこから賃加工の委託契約書がある筈。これを IMMEX 契約と呼ぶ」との事です。

また、何の為にそんな契約書が必要か、と言う点に就いては、日本の経済産業省に対して輸出許可を申請するに当たり、モノがメキシコにあるのに所有者は米国企業である事を説明する必要があるとか。

しかも、実際にモノがメキシコに到着する際には B 社が確定輸入を行い、これをユーザーの米国側姉妹会社に販売する手続きを取るのだとか・・・??。しかし、実際のモノは C 社に搬入する・・・。どうも Virtual Operation を考えているようです。

小生はその話を聞いて、何を考えているのかな、この人達は?と思いました。

確かに昔のマキラドーラでは、『海外の顧客(往々にしてメキシコの会社の親会社)が設備や部材の所有者であり、メキシコのマキラドーラはこれらを借り受けてメキシコ国内で賃加工(委託加工)をするだけ』と言うスキームがかなり一般的でした。元々「マキラドーラ」と言う言葉は、「マキラール する人」と言う意味で、「マキラール」と言う動詞は「下請け(賃)加工をする」と言う意味なので、当たり前といえば当たり前です。

但し、IMMEX と言う制度は、以前のマキラドーラと PITEX と言う似通った制度がひとつに統合されたプログラムである点を見逃してはいけません。

PITEX と言う制度は、メキシコの企業で輸出している企業であればマキラドーラと同様に一時輸入を許してあげよう、と言う制度だったので、当然設備も部品や材料も自身で購入し、これを加工して製品を輸出していれば登録できる制度だった訳です。つまり、単なる委託加工ではなく、部品や材料を買い上げ、製品を海外の顧客に販売する会社、と言う事ですね。

現在の IMMEX はこれら異なるスキームを行う企業がごっちゃに混ざっています。寧ろ、ひとつの企業で両方のスキームのオペレーションを行なっていても良い訳で、B 社が言うように、「設備の所有者は米国企業でなければいけない」と言う事はありません。

また、B 社が確定輸入を行い、それを C 社の米国姉妹会社に転売する(所有権を移す)のであれば、メキシコ企業である C社の名義で輸入通関が出来ず、客が IMMEX 登録や PROSEC 登録を持っていても(自身の名義で通関しないので)これらのプログラムを適用しての輸入通関が出来ない、と言う事になってしまいます。そうです。

B 社と C 社の間で Virtual Operation を行えば、少なくとも IVA の支払いは(一時的に)免れ、関税に就いては、一時輸入であっても設備(固定資産)の場合、輸入通関時に支払わねばならず、一見問題はないようですが、B 社の名義で輸入通関をしてしまうと PROSEC が適用出来ず、PROSEC により一般関税率より低い関税率を適用出来る可能性がなくなってしまいます。

そこで C 社に進言したのは下記のようなものです。

1) A 社より直接購入し、C 社名義で輸入通関を行う。

2) 若しどうしても B 社が商流に入りたい、と言うのであれば off shore 取り引き、つまり、CIF Manzanillo などのタームで B 社が A 社より買い上げ、C 社に販売して貰う。

と言う事です。当然 IMMEX 契約書に関しても、そのような契約書自体が存在しないのでこのような要求は無視して良い、とコメントを加えました。

それにしても、日系企業を顧客としかなり以前からメキシコで営業している B 社の営業さんでこれほどまでに IMMEX 等に関する知識がないのか、と(大げさですが)愕然としました。

また、それら B 社の客先も多くが日系企業であり、その中で IMMEX や PROSEC を利用している企業は多いと思うので、そのようなところから B 社の営業さんに対して「誤解」の指摘がないものか?と、この点も非常に疑問に思いました。

或いは、B 社のこれまでの客先自身も IMMEX に関する知識が不足しており、B 社の営業さんの知識不足を指摘するのはおろか、彼の言いなりになっているケースが殆んどなのかも知れません。

まぁ、世の中色々ありますが、小生はウチのお客様に対し、「IMMEX や PROSEC と言う制度は運輸スタッフだけが知っていれば良い、と言う事ではありませんよ」とか、「若し御社のお客様が IMMEX や PROSEC 登録をしており、これらプログラムを活用したい、と言う意向であれば、御社営業スタッフがお客様と交渉の為のミーティングに出席する際には、これらプログラムを熟知している運輸スタッフもミーティングに同行させた方が良いですよ」などと昔からアドバイスを提供しています。

これらのアドバイスは結構的を射ているな、と今更ながら(手前味噌ながら)感じた次第です。